• 悩みごと解決・情報満載・安心、満足の終活サイト
Close

戦後75年、まだ“平和ボケ”

ケント・ギルバート氏は、毎週金曜日夕刊フジに寄稿しています。いつも日本の事を憂う外語人であるとともに、日本のことを日本人以上によく知っている外国人でもあります。いつも我々に警告を発してくれ、励ましてくれている。

いま日本の置かれている状況は、「四面楚歌」という言葉がピッタリ似合うのではないでしょうか。沖縄県・尖閣諸島が中国の脅威にさらされ、韓国とは1965年に締結した「日韓基本条項」に異議を唱えられ、ロシアとは領土問題が解決できず、講和条約を締結できていない。核ミサイルの脅威を高める北朝鮮とは、最近対話すら実現していない。

その最たる問題は、日本政府の弱腰外交にある。(外交ベタとでもいえる)「香港国家安全維持法」が可決されても、正式な政府の抗議はされていません。常に発せられる言葉は「遺憾に思います」です。辞書を引くと、「思い通りにいかないので、心残りです。残念です」とある。これでは強い主張どころか、単なる感想を述べたにすぎません。

外交と関連して、戦後75年にして最大の汚点というか、胸に突き刺さった深い傷ともいえる問題は「憲法改正」です。

独立国としていまだに、国を守る軍隊を持たない国は日本だけです。果たしてこれで、正規の独立国と言えるのでしょうか。その結果、同盟国とはいえ、自国の安全を他国に依存している始末です。

国際社会の平和と安全は「力の均衡」によって支えられていることは、周知の事実です。法律や規則は、一担決まれば変えてはいけないのではなく、変えなくてはいけないものです。世界中で戦後75年間、一度も憲法に手を付けていない国は、日本だけです。

ケント・ギルバート氏は、「日本国憲法前文には、『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われわれの安全と生存を保持しようと決意した』と記されているが、極東における現状を見る限り、そんな夢物語は通用しない。『平和』を唱える人々こそが、国内外の秩序を乱しているのだ。平和主義者の典型は『何もしないことこそが平和だ』という人々であり、最も厄介だ」

「平和でない状況を『平和』と言い張り、その『平和の幻想』が続くと考える人々は、まさに『ダブル平和ボケ』と言える」
「安全保障を人任せにするのではなく、国民ひとり一人が現状を認識し、平和について真剣に向き合わなければ、真の平和は訪れない」

多くの中国人は「安倍政権は日本防衛を決断できない」と見て、せせら笑っているに違いない。中国の機嫌を伺ってばかりの外交では、安倍首相は大きな汚点を残すだろう。