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中国の脅威――全体主義社会

「チャイナ・ドリーム」を描いた西側諸国の罪

中国は、社会主義を標榜する「共産党一党独裁国」だ。従来の価値観では、自由主義こそ経済の繁栄がもたらされると、信じられてきたが、見事覆された。いまや中国は、世界第2の経済大国になり、軍事大国として幅を利かすようになった。

その責任は、西側資本主義国にある。

1989年、天安門事件が発生。民主化を求める市民と学生を、武力で鎮圧した。この惨事を見て、自由主義国は経済の発展を促せば、中国は民主化をするだろうと、甘い「チャイナ・ドリーム」を描いた。

当の中国は、国内市場を最大の武器(14億人の市場)に、西側資本主義のブルジョアジーを誘き寄せ、利益という甘美の酒で酔わせた。先進国の先端技術を取り込んで強くなった中国は、さらに自由主義世界に進出し、出先の民主主義制度を悪用して、プロパガンダを展開した。気がつけば、自由主義陣営の体内には、すでに全体主義中国の毒素が深く注入され、神経は麻痺し、正常な思考すらできなくなってきた。

これまでトランプ大統領は、関税の引き上げという貿易戦争を仕掛けた。突如として世界に猛威を振るう「コロナ禍」により、戦闘に火が付いた。

新たな「米中冷戦」の突発と言われるが、そもそも冷戦とは、武力の衝突を避ける形で対立する状態を指す。ところが、南シナ海で米国と中国軍が武力衝突する「熱戦」になる可能性が排除されない。

ソ連の共産主義は、スターリンがコミンテルン(共産主義インターナショナル)を通じ、諸外国に共産党を作り、マルクス・レーニン主義による世界革命を志向していた。現在の中国は、世界革命を目標としていない。

帝国主義国の本性

中国は、自国の利益の極大化を図る帝国主義国を目指している。帝国主義国は、相手の立場を考えず、自国の利益を最大限に主張する。

相手が怯み、国際社会が沈黙していると、帝国主義国は力を背景に自国の権益を拡張する。相手国が必死に抵抗し、国際社会も「やりすぎだ」という反応を示すと、帝国主義は譲歩する。それは、自らの行為を反省したからではなく、これ以上横車を押すと、反発が強くなり結果として、自国が損をするという計算に基づいてのことだ。そして再度、自国の権益を拡大する機会を虎視眈々と狙う。

外交は、イデオロギーではなく、現実に基づいて進めなければならない。これを確実に進めているのが、中国である。

全体主義社会の光景

8月12日「人民日報」に「飲食浪費の禁止」「食料節約」の記事が載りました。問題は、一党独裁の中国で、最高指導者が上から指示を出せば、嵐のように政治運動として展開されていく点だ。中国政府公式サイトも、「長期的メカニズムを構築し、飲食浪費行為を禁じよう」との「評論員文章」を掲載。党の指導下の「民間団体」は、一斉に声を上げた。

中華全国工商業連合会・外食業委員会は、全国の外食業界に対して「飲食浪費禁止のために行動せよと」との檄をとばす。全国婦人連合会は、すべての家庭と主婦に対し、「飲食浪費制止」を呼びかけた。

外食業界の現場では、10人の顧客に対し、8人分か9人分の料理の注文しか受け付けないレストランが続出。顧客が食べ残したら、ウエイターが処罰を受ける。

いずれこの国は、料理の余分な注文が法律によって禁じられたり、食べ残しで処罰を受け、国民の飲食まで、国家の監視と統制下に置かれてしまう。これだけにとどまらず、今後は飲食から娯楽まで、家系から婚姻まで、私生活のあらゆる領域が、何らかの形で国家による統制下に置かれてしまうだろう。

習氏の目指す全体主義の社会像は、国民の思想・価値観・ライフスタイルと生活習慣にまで、全てが最高指導者の命令で、一律に決められる社会こそ、「習金平流全体主義社会」の理想的な形なのであろう。

全体主義の本音

中国の人口は14億人。これだけの人々をまとめていくには、相当のエネルギーがいる。日本のように、好き勝手なことを言っていたら、まとまるものもまとまらない。

そこで全体主義が登場する。全体主義は、個人に対する全体(国家・民族)の絶対的優位の主張のもとに、諸集団、諸個人を全体の目標に、総動員する思想及び体制をいう。文句を言う者は、容赦はしないということである。